4段位教程・重点項目

14 段位基本項目3 段検定 重点項目 まとめ)

1.歩法・身法= 腰が主宰して、両脚をつなげ、上肢に伝える

1)収脚・上歩・退歩:「膝つぶれ」を無くし、軸足の弾力を保ちながら行う。

-軸足の足裏に乗り、胸・胯をゆるめて重心を足裏に降ろす。足裏からの弾力のある働きで、収脚・上歩・退歩する。

-腰・胯を動かすために、両足が適切な横幅を保つ。

2)上歩・跟歩・退歩の後:両足をゆるめてつなげる。

-虚領頂勁・含胸抜背で、腰・胯をゆるめて収める(鬆胯・収胯)。

-腹部を寛(くつろ)げ、両足裏をつなげる(丹田と足裏をつなげる)。

3)弓腿・坐歩:ゆるめながら、つなげ、伝える。「膝かぶり」、「前引き」、「後ろ引き」、「空の腰」を無くす。

後ろ胯をゆるめ、後胯と膝を後ろ踵方向に送り出し、足裏からの働きで腰を前に送る。前胯をゆるめて沈め、後ろ脚からの勁を、前膝から、前足裏 に伝える。この両脚の働きを上肢に伝える。

両脚の働きと、腰を回す働きを協調させる。両脚の動きより、腰を回すのが早過ぎない、遅過ぎない。

4)弓歩・虚歩定式の、身法と両脚の協調バランス。

-弓歩定式:後ろ胯・膝をゆるめて後ろに拡げ、前胯をゆるめて収め(収胯)て沈める。両脚の働きを協調させ、バランスを保つ。後ろ脚の膝が曲がっているのは不可。膝が伸びていても、後ろ側の胯(股関節)が狭まって、腰を正面に向けるのも不可。

-虚歩定式:後ろ胯をゆるめて収め(収胯)、胯・膝・脚先を同じ方向に向けて揃え、重心を真上から足裏全体にかける。前膝を持ち上げ(提膝)、前 胯をゆるめて沈める。両脚の働きを協調させ、バランスを保つ。

2.手法・歩法・身法の結合

抱掌・分掌・掌・推掌・雲掌・按掌:各手法の適切な路線。両手の働きと両脚のバランスを保つ。「空の手」を無くす。

3.眼法・身法・手法の協調、動作を拡げる

1)動作の結節点で、胸・腹部をゆるめて寛げ、足裏に乗って動作を落ち着かせる。

2)動作の定式で、胸・腹部をゆるめて寛げ、動作を伸びやかに拡げる(舒展)。

 

 2.放鬆(ファンソン)による身法の開合、手法との結合

手法(起・落・抱・分・・推・雲・掤按)は、放鬆による身法の自然な開合を伴って行う。

弓歩では、下肢が、後脚と前脚の協調動作で腰を前に送るのにつれて、上肢は、胸をゆるめて後方下に引き込み、背筋を伸ばす「含胸抜背・虚領頂勁」を行なうことが不可欠。胸・背が後ろ方向に「含胸抜背・虚領頂勁」のバランスを作る時に、胸と同時に両肩の内側も後方にバランスをとる。これにつづいて、肘・手が前に向かって手法を働かせる。坐歩の動作も、同様に、腰足が後に坐る時に、胸・肩を後方に引き込み、肘・手を前方に働 かせる手法を行なう。このように、歩法と身法の働きを協調させて手法を行なうことにより、腹部が安定して「気沈丹田」が得られる。歩法・身法・手法 を適切に協調させなければ、気沈丹田は得られない。このように身法の開合と手法を結合させて行なう。

1)身法の開合:①手法の起落抱分推等を始める準備として、合-開を行なう。②身法の合-開を伴って手法動作を行う。③手法動作を完成するために、合または開を行う。④次の動作の準備として、合または開を行う。

2)開合は、身体各部をゆるめながら細かく微調整し、含胸抜背、虚領頂勁、鬆腰鬆胯、寛胸、鬆腹、収腹、気沈丹田などを行いながら、胸部・腹部 を、前後、左右、上下に開き、あるいは、合せる。

3)開は、大きい開から小さい開があり、合も、大きい合から小さい合がある。手法動作の必要に応じて、大小の開合を組み合わせて行う。開合は、身体各部をゆるめてつなげる身法によって、必要なだけ過不足なく、自然に行う。放鬆を伴わず、外形だけで開合を行うことは戒める。

 

3.放鬆(ファンソン)による外三合

1)上三節(肩・肘・手(手首・指))を、順次ゆるめながら動かして、協調した働きを、根節→中節→梢節の順に伝える。

2)下三節(胯・膝・足(足首・足裏))を、順次ゆるめながら動かして、協調した働きを根節→中節→梢節の順に伝える。

3)上下に対応する三節の、肩-胯を連動してゆるめ、肘-膝を連動してゆるめ、手(手首)-足(足首)を連動してゆるめて動かす。上下の根節→中節→梢節の協調作用すなわち上下相随の働きで、足裏からの勁を手に伝える。

 

4.心静体鬆、気沈丹田

1)心静体鬆

-心静:精神の安静状態を保つ。動作中に身体各部を微細にコントロールして協調させるための集中力を保つ。静で動をコントロールし、動いていてもあたかも動いていないような安静状態を保つ。

-体鬆:「鬆(ソン)」、「放鬆(ファンソン)」=体をゆるめるために、虚領頂勁、鬆腰鬆胯、寛胸、鬆腹等の身法で身体各部を、つなげ、拡げて、上虚下実にする(静的放鬆)。また、弓腿、坐歩などで、動作に応じて、身体各部のつながりを高めるために、含胸抜背、虚領頂勁、踏実、開合などの動作を伴って、胸をゆるめ、腰・胯をゆるめ、胯を収める(収胯)。動きながら、上肢と各関節を連動してゆるめる(動的放鬆)。ゆるめながら動かすことを通じて、用意不用力、沈着穏定、軽快下肢の活発(軽霊円活)を求める。放鬆の程度を進めることによって、運動効果と健康効果をさらに高めることができる。

2)気沈丹田

-放鬆による上虚下実、腹部の自然な充実:身体各部をゆるめてつなげる身法を通じて、動作の比較的安静時(無極式、動作の定式時等)に、さらに、胸をゆるめ、腹部を寛げることにより、下腹部が自然に安定し、充実した感覚=「気感」を得る(静的「気沈丹田」)。気沈丹田は、放鬆による練功を積み重ねるなかで自然に体得できるものである。気沈丹田は、下肢と上肢を身体内部でつなぐために欠かせない役割りを果たす。気沈丹田を備えていない動作は、空虚なものである。ただし、腹部の充実感があっても、腹部が固く膨れる膨満感を伴うものは不適切で、健康上有 益でないので注意を要す。気沈丹田は練功の過程で得られる重要な功法であるが、練功の最終目標ではない。練功の次の段階では、気は丹田に留めるものではなく、全身にめぐらせるもの=「気遍全身」となる。

-動的気沈丹田:手法の昇降、身法の開合、歩法・身法の前進、後退、転身の際に、腹部の安定と充実感を得るために、放鬆による身法の自然な 調整を行う(動的気沈丹田)。手を挙げる際は、まず胸、腰をゆるめた含胸抜背とし、手を挙げながら、虚領頂勁、含胸抜背にし、合→開の身法 を伴って気沈丹田を得る。手を下ろす際も、同様にして行う。